哲本哲思

読者の方々にあらゆる情報をお伝えいたします。

第四回 軽い恋愛談義みたいになってしまって

私は、森見の作品を過去、一作品だけ読んだことがある。『太陽の塔』。森見の評判、本の帯を見るにかなり高い評価がされている作品なのだと胸を躍らせて手に取った。しかし、どうも好きになれなかった。結末が好きになれなかった。というのが正直な感想であった。

 

しかし、森見は世間で評価され、有名な作品がある。『夜は短し歩けよ乙女』がその一つと言えるだろう。読了後の感想をこのブログに書き記そうという魂胆で書いているわけではない。今日から読み始めたわけであるが、心に残った一節を紹介しようと思い立った次第である。

 

「自分が惚れた男と結婚するのと、惚れていない男と結婚するのとじゃあ、惚れてない男と結婚する方がいいよね」(p.34)

 

このように登場人物に語らせている。この登場人物の考え方は非常に適格だなと私に思わせた。以下のように補足した(以下、要約)。

 

好きになるということは、好きという「付加価値」が相手についている状態。その状態がいつまでも続くはずもなく、「付加価値」はいずれ無くなる。ならば、好きという「付加価値」のない者をはじめから選べばいいのである。

 

この主張に全面的に肯定できるほどの社会経験もしていない。加えて、一生涯、一人を好きでいられることが可能だと考える私にとっては肯定しがたい訳である。

 

しかしながら、付加価値がついた人を好きになることは、付加価値が無くなれば好きではなくなることを意味すると思っている。相手の本質、核、普遍の部分を好きになっていないからである。変わらない何かを好きになるべきだと思う。

 

そういう人が私にも現れてほしいなと切に願う今日この頃である。

 

無意識に魅了されている気がして、結果手に取ってしまう森見の作品。彼の作品には魔力があると思う。奇想天外な発想と知的語彙の数々。今までに読んだことのない類の作品群を生み出す森見の作品にこれからも魅了されていくことになりそうだ。

 

今後、読了後の感想を書いてみたいと思う。併せて、『太陽の塔』の再読、『熱帯』も読んでみたいと思う。